延床面積を理解すれば家はもっと広くなる!計算方法と空間活用術
不動産探しで間取りや広さを見ても、「イメージと違う…」と感じたことはありませんか?その原因の多くは、延床面積にあります。
この記事では、延床面積とはなにか、含まれない部分はどこか、計算方法、延床面積を最大限に活用するアイディアなど、知っておくべき大切な知識をお伝えします!
延床面積(建物面積)とは?
延床面積(のべゆかめんせき)とは、建物の各階の床面積を合計した面積のことで、言い換えると、建物全体で「実際に使える床の広さ」の合計です。「建物面積」と呼ばれることもあります。
マンションの場合、部屋の広さを示すのは「専有面積」です。これは共用部分を除いた部屋の内部の広さで、延床面積とは異なるので注意が必要です。
延床面積の概算の例
1階(50平米)+2階(50平米)+3階(50平米)=延床面積150平米
建築面積・敷地面積・施工面積など、延床面積と似ている用語との違い
建築面積
建築面積は、建物を真上から見たときの面積で、具体的には、建物の真上から見た影の面積と考えるとわかりやすいかもしれません。
一般的には、1フロアの広さと考えがちですが、各階の広さを積み重ねるわけではなく、そのフロアの「最も広い部分」が建築面積に影響します。
例えば、1階が大きければ1階の広さが、2階が広ければ2階の広さが建築面積に。ドラえもんの家のように2階が小さい場合は、1階が建築面積になります。
敷地面積・土地面積
敷地面積は、建物を建てるために実際に使用できる土地の広さを指します。
土地面積から、建ぺい率(けんぺいりつ)や容積率(ようせきりつ)を基にして、どれだけの建物を建てることができるかが決まるため、土地を購入するときには、敷地面積を確認することが非常に重要です!
土地面積は広さの目安として使われますが、実際に建物を建てるときに必要な情報は、敷地面積に基づいて計算されることを忘れないようにしましょう。
施工面積
施工面積は、建物を建築するときに実際に施工された面積を指します。
具体的には、建物の床面積や構造物、さらに壁や柱、外壁や設備の取り付け部分も含まれるため、建築面積や延床面積よりも大きくなることが多いです。
延床面積の計算方法
延床面積は、建物の各階の「床面積」を合計したものです。
このとき、壁の厚みなども床面積に含まれますが、ロフトや小屋裏収納などは、天井までの高さが1.4m以下であれば、延床面積に含まれません。
また、延床面積は容積率とも関連しているため、建物の規模や高さに関係します。
計算方法の例|100平米の土地・建ぺい率50%・容積率150%
この場合、以下の計算方法を使うと、延床面積は150平米が上限です。
仮に1階、2階、3階それぞれ50平米だとすれば、1階(50平米)+2階(50平米)+3階(50平米)=150平米が延床面積になります。
- 建ぺい率を使って、1階の床面積を求める
100平米(土地面積)×50%(建ぺい率)=50平米(1階の面積) - 容積率150%を使って、延床面積の上限を計算
100平米(土地面積)×150%(容積率)=150平米(延床面積の上限)
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有効活用できる!バルコニーや屋上など、延床面積に含まれない部分・場所 8つ
建築基準法上、家の中の空間でも延床面積に含まれない場所や部分があります。この「延床面積に算入されない空間」を有効活用することによって、延床面積以上に広く感じる家を建てることができますよ!
1. 吹き抜け
吹き抜け部分自体は、延床面積に含まれません。
ただし、吹き抜けの下にある床はその階の延床面積としてカウントされます。吹き抜けを囲む床や壁も延床面積に含まれます。
ものすごくシンプルに考えると「床がない空間=延床面積ゼロ」です。
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2. ベランダ・バルコニー
ベランダやバルコニーも延床面積に含まれないのですが、注意が必要。外壁の中心線から1mを超える部分は延床面積に加算されます。
よく建売住宅でバルコニーが狭いと感じる場合がありますが、これは延床面積の関係でそうなっていることも。
3. 玄関ポーチ・テラス・ウッドデッキ
基本的に、玄関ポーチやテラス、ウッドデッキは延床面積に含まれません。ただし、屋根を付けて1mを超えると延床面積に含まれることがあります。
また、ウッドデッキが地面に接している場合は問題ありませんが、高い位置に設置するとバルコニーと同じように延床面積に含まれる可能性があります。
4. ロフト
ロフトは基本的に物置として使用されるのが前提で、居住スペースとは見なされません。天井高が1.4m以下で直下階の床面積の1/2以下などの条件を満たせば、延床面積には含まれません。
5. 屋上
屋上自体は延床面積に含まれませんが、屋上にアクセスするための塔屋(屋上に上がるための構造物)は延床面積に含まれます。
ただし、屋上に屋根を付けるとそれが延床面積に加算され、屋上の使用方法によっては延床面積に影響を与えることがあります。
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6. 出窓
出窓についても、外壁の中心線から1m以内の出窓は延床面積に含まれませんが、1mを超えた分が延床面積に加算されます。出窓を設置するときは、その広さや大きさにも注意しましょう。
7. 屋外階段
原則として、屋外階段は延床面積に含まれません。
しかし、屋外階段に屋根がかかっていたり、三方以上が壁で囲まれている場合は、延床面積に含まれる可能性があります。屋外階段を設置するときも、周囲の条件を確認しておくことが大切です。
8. ビルトインガレージ
ビルトインガレージは延床面積に含まれますが、自動車車庫としての用途で、建物全体の延床面積の1/5以内であれば、容積率の緩和(車庫緩和)を適用することができます。
ただし、この緩和は、第一種・第二種低層住居専用地域や第一種・第二種中高層住居専用地域に限られるので、地域制限も必ず確認しましょう。
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居住空間の目安!東京の一戸建ての平均的な延床面積・坪数
令和5年住宅・土地統計調査(総務省)によると、東京都の一戸建ての平均的な延床面積は「64.02平米(約19.3坪)」です。これは全国平均の「約104.59平米(約31.6坪)」と比べるとかなり小さい数値で、全国でも最も狭い水準となっています。
ただし、東京都内の城西エリアや城南エリアでは、延床面積が70~90平米程度のもう少し広めの住宅が人気ですよ!
▼希望エリアを選んでから、詳細条件で「建物面積」に希望の広さを指定すると条件で絞り込めます♪
東京都で延床面積が小さい理由
東京都の一戸建ての平均的な延べ床面積が狭いのは、土地価格が非常に高く、広い土地を確保するのが難しいため、必然的に建物の延床面積も小さくなりがちです。
一方で、限られた狭い土地や一戸建てでも、空間を有効活用できる設計や工夫が凝らされた住宅が増えていることも一つの要因としてあるかもしれません。
延床面積は住宅ローンや税金に影響がある?
結論から言うと、「影響はあります」。
延床面積次第でローン条件や税負担が大きく変わるため、購入や建築時には必ず確認してくださいね。
どんな影響があるか | |
住宅ローン | 銀行や金融機関は、延床面積を基準にして融資額を決定することが多いため、住宅ローンの審査においても重要。 延床面積が50平米未満だと、住宅ローンを利用できる金融機関が限られる。特に「フラット35」は70平米以上が条件 |
不動産取得税 | 50平米以上240平米以下でないと軽減措置を受けらない |
固定資産税 | 50平米以上280平米以下であれば、新築住宅の軽減措置が適用可 |
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コンパクトな延床面積を最大減に生かすアイディア3つ
東京都内で一戸建てを建てるときは、敷地や延床面積に制約が多く、限られた面積でいかに快適に暮らすかが鍵。延床面積を増やさず、居住性や使い勝手を高める4つの具体策を紹介します!
アイディア1|「吹き抜け」で上下空間にゆとりを
延床面積に含まれない吹き抜けをリビングに設ければ、実際の床面積は増えなくても空間の伸びやかさが感じられ、都市部の狭小敷地でもゆとりを演出できます。
開放的な空間は、上下階の一体感と採光性が向上するだけでなく、家族のコミュニケーションも活性化し、空調設備をうまく併せれば快適さも増しますよ。
アイディア2|「ビルトインガレージ」で容積率対象外を活用
東京都内の狭小地では駐車スペース確保が課題。ビルトインガレージなら土地を無駄なく使えるだけでなく、一定基準を満たせば、容積率に算入されません。
車庫兼収納として活用することで、雨の日の出入りや荷物運びもスムーズで、敷地を有効活用しつつ居住スペースを広げられます。
アイディア3|「ロフト(小屋裏収納)」を活用し、日々の居住空間を広くすっきり使う
一定条件を満たせば、ロフトは延床面積に含まれません。季節物や趣味用品などの使わない荷物を上階に集約できることで、日々の居住空間をすっきり広く保てます。趣味部屋にも応用可能!
延床面積を生かしながら、快適な一戸建てに住もう
延床面積は建物全体の床面積を合計したもので、実際に使える広さを表します。たとえ狭い場所だとしても、吹き抜けやバルコニーを上手に生かすなど延床面積を最大限に活用しながら広さや快適さを確保できれば、住みやすい家をつくることが可能ですよ!
延床面積や予算のことでわからないことがあれば、気軽にお近くの不動産仲介業者に相談してみてくださいね。
「延床面積」について解説した不動産のプロは、この人

- 殖産ベスト株式会社
- 白石 隼典(しらいし しゅんすけ)
- 実家がリフォーム会社ということもあり、学校卒業後すぐに住宅業界に。5年間建築を学び、不動産業界に飛び込みました。培った建築のノウハウを活かし、物件の魅力だけでなく、デメリットや建物の欠陥を見抜き、お客様にお伝えしています。
殖産ベストでは主に城南エリアを担当し、不動産インフルエンサーとして動画の配信も。ぜひチャンネル登録を! - 【保有資格】
宅地建物取引士 - 【公式YouTube】殖産ベスト/shokusanbest
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