敷地面積とは?延床面積との違いや最低限度、有効宅地面積の計算方法は知っておくと便利!
一戸建ての購入を検討するとき、マンション購入ではあまり気にしない「敷地面積」という独自の要素が加わります。
敷地面積は、建物を建てるときの基本的な要素で、土地の使い方に大きな影響を与えるもの。
この記事では敷地面積だけでなく、最低限度や有効宅地面積についてもわかりやすく掘り下げていきます!
「敷地面積」について、この記事でわかるポイント
敷地面積とは、建物を建てる土地全体を真上から見たときの水平な面積

敷地面積は、建物を建てる土地全体を真上から見たときの水平な面積を指します。敷地が広いほど庭や駐車場、テラスなどの外部スペースにゆとりを持てます。
ただし、実際に建てられる家の大きさは、敷地面積に加え、地域ごとに定められた建ぺい率や容積率という建築規制によって制限されます。
理想の住まいを実現するため、この敷地面積と建築規制の関係を理解することが、戸建選びの第一歩です。
延床面積・建築面積・施工面積など、敷地面積と似ている用語との違い

敷地面積のほかに、戸建の広さを示す用語はいくつかあります。それぞれの違いを理解しておくと、物件情報がより正確に読み取れますよ!
延床面積
延床面積(のべゆかめんせき)とは、建物の各階の床面積をすべて合計した広さのこと。
居室だけでなく、玄関、廊下、収納、トイレなども含めた建物全体の規模を示すため、住宅選びのときには、実際に生活する居住スペースの広さの目安となるものです。
敷地面積に対して、建物の最大規模を決定する延床面積の割合を「容積率」といいます。
▼延床面積についてもっと詳しく
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建築面積
建築面積とは、建物を真上から見たときの水平投影面積のこと。
一般に「建坪(たてつぼ)」と呼ばれ、2階建て以上では最も床面積の広い階の面積を指します。
この建築面積は、敷地面積に対して土地をどの程度使えるかという上限「建ぺい率」の計算に使われ、建物の最大サイズを制限する重要な指標です。
施工面積
施工面積は、ハウスメーカーや工務店が独自に使う面積の指標で、延床面積には含まれないバルコニー、吹き抜け、玄関ポーチ、ロフトなど、施工にかかる全ての部分を合計した面積。
建築費の目安として使われますが建築基準法上の定義はなく、会社によって算出基準が異なるので、物件を比較する際は延床面積と分けて確認が必要です。
敷地面積と「有効宅地面積」の関係|違いは、セットバック部分
敷地面積を正確に計算するためには、資格ある測量士の測量作業が必要です。
測量では、まず境界標に基づき土地の正確な境界点を特定。次に、これらの境界点を計測し、最終的にこの座標データから正確な面積(水平投影面積)を計算します。
敷地面積に算入しない道路「セットバック」と「有効宅地面積」

セットバック(道路後退)は、建築基準法上の接道義務を満たすために、自分の敷地の一部を道路として確保することです。
このセットバック分を差し引いた面積が、建ぺい率や容積率の計算に使われる「有効宅地面積」です。
元の敷地が広くても、セットバック部分が大きいと、不動産の価値や建てられる家の規模に影響します。
▼セットバック、建ぺい率や容積率をもっと詳しく
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敷地面積の最低限度とは?土地の過度な細分化を防ぐもの

敷地面積の最低限度(最低敷地面積)とは、良好な住環境を守るため、土地の過度な細分化(ミニ開発)を防ぎ、建物を建てる際に最低限必要とされる土地の広さです。
これは、各自治体が条例等で地域ごとに独自に定めているルールで、この面積を下回る土地には、原則として建築許可が下りず、新築や建て替えはできません。
面積の指定は、各自治体のホームページにある都市計画関連の資料などで確認可能です。
敷地面積の最低限度の例|吉祥寺周辺の中央線沿線と世田谷区
敷地面積の最低限度は、主に自治体(市区町村)に問い合わせるか、自治体のウェブサイトで確認するのが最も確実で一般的な方法です。
ここでは弊社が扱う三鷹から中野の中央線沿線と世田谷区のエリアを例に、敷地面積の最低限度を見ていきましょう!
吉祥寺を含む武蔵野市の敷地面積の最低限度
武蔵野市は良好な住環境を守るため、住居系の用途地域にのみ敷地面積の最低限度が適用され、商業系や工業系には適用されません。
| 建ぺい率40%以下の地域 | 120平方メートル |
| 建ぺい率50%以上の地域 | 100平方メートル |
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三鷹市の敷地面積の最低限度
三鷹市は、住居系用途地域や準工業地域が指定されています。
ただし、近隣商業地域も特別用途地区により、住居専用住宅を建築する場合は敷地面積の最低限度を90平方メートルに指定されてます。
| 建ぺい率50%以下の地域 | 100平方メートル |
| 建ぺい率60%以上の地域 | 90平方メートル |
杉並区の敷地面積の最低限度
杉並区は、主に住居系と準工業の用途地域で適用されていて、指定された建ぺい率によって必要な最低面積が変わるのが特徴です。
| 建ぺい率40%以下の地域 | 80平方メートル |
| 建ぺい率50%以下の地域 | 70平方メートル |
| 建ぺい率60%以上の地域 | 70平方メートル |
中野区の敷地面積の最低限度
中野区は、主に住居系の用途地域で適用されており、指定された建ぺい率によって必要な最低面積が変わるのが特徴です。
| 建ぺい率40%以下の地域 | 85平方メートル |
| 建ぺい率50%以下の地域 | 70平方メートル |
| 建ぺい率60%以上の地域 | 60平方メートル |
参考:中野区「建築物の敷地面積の最低限度規制に関する手続き」
世田谷区の敷地面積の最低限度
世田谷区は、主に住居系と準工業の用途地域で適用されており、指定された建ぺい率によって必要な最低面積が変わるのに加えて、環状7号線の西と東で規制が分かれているのが特徴です。
| 建ぺい率40%以下の地域 | 100平方メートル |
| 建ぺい率50%以下の地域 | 80平方メートル |
| 建ぺい率60% 第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域 |
70平方メートル |
| 建ぺい率60% 第一・二種中高層住居専用地域 第一・二種住居地域 準住居地域、及び準工業地域 環状7号線西側(外側) |
70平方メートル |
| 建ぺい率60% 第一・二種中高層住居専用地域 第一・二種住居地域 準住居地域、及び準工業地域 環状7号線東側(内側) |
60平方メートル |
「有効宅地面積」がわかれば、建てられる建物面積もわかる!建築面積・延床面積の上限を計算
不動産広告に書かれている数字から「建築面積」と「延床面積」の上限を計算できると、希望する間取りが実現可能か、将来の建て替えでどれくらいの広さが確保できるかを具体的に知ることができます。
特に建ぺい率と容積率の計算を理解することで、土地の本当の価値と潜在的な建物の規模を見極められ、希望に合った物件を効率的に検索できるようになりますよ!
建築面積の上限の求め方|ワンフロアの広さを知る

実際に建てられる建築面積(建物の最も広い階の面積)の上限は、「有効宅地面積」に都市計画で定められた「建ぺい率」をかけて求めます。
建築面積の上限=「有効宅地面積」×「建ぺい率」
【計算例】
建築面積の上限:60平方メートル(建てられるワンフロアの最大面積)
=有効宅地面積:100平方メートル×建ぺい率:60%(=0.6)
もし敷地が防火地域内にあり、建物を耐火建築物にする場合は、建ぺい率に10%が加算されます。この特例を使えば、上記の計算よりも広い建築面積の建物を建てることが可能。
延床面積の上限の求め方|全フロアの合計面積を知る

実際に建てられる延床面積(建物の全フロアの床面積を合計した広さ)の上限は、「有効宅地面積」に都市計画で定められた「容積率」をかけて求めます。
延床面積の上限=「有効宅地面積」×「容積率」
【計算例】
建築面積の上限:150平方メートル(建てられる全フロアの床面積の合計)
=有効宅地面積:100平方メートル×容積率:150%(=1.5)
駐車場や地下室、一部のバルコニーなど、特定の条件を満たす部分は、延床面積に算入されない、または一部のみ算入される特例が認められています。
これらの特例を活用することで、上記の計算上限を超えて建物の総床面積を広くすることが可能!
有効宅地面積を把握することが、後悔しない家選びの鍵!
不動産購入において、敷地面積からセットバック部分を除いた有効宅地面積を把握することが、その土地の真の価値を知る鍵です。
建築可能面積の計算と最低敷地面積の確認が、後悔しない家選びでは必須ですが、「計算がよくわからない…」「希望するエリアの最低敷地面積を知りたい」など、迷ったら、まずは気軽に信頼できる不動産のプロに相談してくださいね!
土地や家のことで悩んだら、すぐ相談!
「敷地面積」について解説した不動産のプロ

- 殖産ベスト株式会社
- 石井 聡(いしい さとし)
- 主に城西エリアを中心に、不動産売買のお手伝いを多くしてきました。不動産の購入・売却に関する知識に加え、自身の購入・売却の経験や子育ての経験なども生かして、いろいろなご相談に乗り、さまざまな角度からのご提案もできます。
- また、単純に不動産の知識のみではなく、ファイナンシャルプランナーの知識を生かして、節税・資産形成などのポイントも併せてご提案します。
- 【保有資格】
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP - 物件探しはこちらから
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