【後編】団体信用生命保険(通称「団信」)ってなに?入ったほうがいいの?入れるの?~嘘だけはつかないでください~#暮らしさがし3
前回は、住宅を購入する際に民間の銀行で住宅ローンを組む場合には加入が必須となる保険「団体信用生命保険(団信)」の仕組みと加入の条件について解説いたしました。
さて、今回は、その団信に加入するのが難しい場合についてみていきます。団信に加入できない場合は住宅購入を諦めるしかないのでしょうか・・・?
よく耳にする「ワイド団信」とは・・・?
※当記事の最後に、動画による解説も掲載しております。今すぐ動画をご覧になりたい場合は、こちらからご覧いただけます。
嘘はつかないで下さい
この記事のタイトルにもある「嘘はつかないでください」という言葉。どういう意味かと言いますと、「健康状態の告知で嘘だけはつかないでください」ということなのです。
万一のことがあった場合、保険会社は保険金支払いのために事実確認をします。その時、団信に加入する際の告知事項で「虚偽」があったということが判明した場合、保険金の支払いがされないことも有り得ます。
加入できるか、心配・・・そんな時は
もし健康状態に不安があって団信に加入できるか心配、という方は、まず不動産仲介会社の担当者にご相談ください。
不動産会社では、いろんな銀行の方とやり取りをしています。銀行の方は過去の経験から、「以前同じ病気の方で団信に通ったことがある」、「処方されている薬の程度によってはその病気でも可能」、のような具体例を把握していることが多いです。
そして、銀行ごとに提携している保険会社は違います(系列の保険会社を使用しているところが多いようです)。つまり、同じご病気でも、住宅ローンを組む銀行(とその銀行が提携している保険会社)によって審査結果が違うことがあるのです。
私達のような不動産仲介会社から複数の銀行に相談することで、「A銀行では審査が厳しそうだが、B銀行だと審査に通りそうだ」ということが見えてきます。
また、不動産仲介会社はどこの銀行を使ったからといって、何か得するわけでもなんでもありません(笑)。ですので、不動産会社に都合の良いローンに誘導されるのでは、というご不安はご無用です。
対策1:ワイド団信
それでもなかなか通常の団信加入が難しそうな場合は、「ワイド団信」と呼ばれる保険があります。
これは、通常団信では審査通過が難しいご病気をお持ちの方でも加入できるような、より包括的な団信です。
ただし金利が少し高くなります。例えば、通常団信よりも0.3%ほど金利が高くなる代わりにワイド団信に加入できる、という具合です。
このワイド団信で審査通過できれば、持病をお持ちの方でも住宅ローンを組むことができ、万が一にも備えることができます。
対策その2:フラット35
対策その2として、前回も触れた「フラット35」という住宅ローン商品についてお話します。
「フラット35」という商品は、民間の銀行の商品ではなく、「住宅金融支援機構」(旧:住宅金融公庫)の商品です。住宅金融支援機構というのは公的な機関です。そのため、民間銀行に比べて審査条件が緩やかだったり、融資に積極的である、という特徴があります。
そして、「フラット35」の借り入れに際しては、団信加入が任意です。(民間銀行の住宅ローンは「団信加入が絶対条件」でしたね。)ご健康に不安がおありの方でも、団信の審査なしで住宅ローンの融資を受けることができます。
その代わり、万が一の時の備えはご自身で対応していただかなければなりません。
オプション商品「◯大疾病特約」で気をつけること
団信のオプション商品として、各銀行さんでご用意されているものに、3大疾病特約や5大疾病/6大疾病・・・今は最大で11大疾病特約団信というものもあるようですね。
3大疾病ですと、がん・急性心筋梗塞・脳卒中の組み合わせが一般的です。
「これらの病気にかかっても団信適用となって住宅ローンの残債が0になるのなら、少しくらい保険料が高くなっても構わない」と思われる方もいらっしゃると思います。
ただ、選択する時には「保険の詳細説明・約款のところをしっかり読む」ことをお勧めします。
なぜなら、「該当の病気と診断されただけでは団信適用とはならない」ことがほとんどだからです。
多くの場合、「該当の病気と診断され」「所定の状態が」「所定の期間継続した場合」に保険適用することになっているはずです。例をあげると、「就労不能状態が13ヶ月以上継続した場合」、「所定の状態が60日以上継続した場合」、「後遺症がある場合」などがあります。
「この保険が適用されるのはどういうケースか」をしっかりご理解頂いた上で加入しないと、結果として「保険の適用外だった」ということが起きてしまいます。
まとめ
以上、前編・後編に渡ってお届けしました「団体信用生命保険」。ポイントは、次の5つです。
・団信に加入していれば、万が一のことがあった場合、住宅ローンの残債が0円になり、家族に資産(家)を残すことができる。
・団信の保険料は住宅ローンの金利に含まれていて、それほど高額なわけではない
・団信加入時の告知では「嘘だけはつかない」
・健康に不安がある場合は、「ワイド団信」や「フラット35」など別の方法もある
・オプション商品は、約款をしっかり確認する
動画
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