【前編】団体信用生命保険(通称「団信」)ってなに?入ったほうがいいの?入れるの?~嘘だけはつかないでください!~#暮らしさがし3
前回までは、賃貸と持ち家のメリット・デメリットを比較・整理してきました。今回は、持ち家のメリットに直結する「団体信用生命保険」について解説してまいります。
※当記事の最後に、動画による解説も掲載しております。今すぐ動画をご覧になりたい場合は、こちらからご覧いただけます。
※過去の関連記事はこちらからご覧いただけます。→「第9回一語一得 団体信用生命保険ってどんな仕組み??」
団体信用生命保険とは
・・・その前に、保険の前提となる住宅ローンについて簡単に説明いたします。
一般的な「住宅ローン」は80歳を完済期日として、最長で35年のローンが組める商品です。
例えば、ローンを組んでいるのがご主人さまだったと仮定します。その後住宅ローン返済中に、ご主人さまが亡くなってしまったり、高度障害に陥ってしまったら・・・残されたご家族が住宅ローンの返済を継続するか、またはご自宅を売却してローンの残債を返済する、ということになります。
このような場合に、「住宅ローンの残債を0円にしてくれる」保険が「団体信用生命保険」です。この団体信用生命保険のことを、略して「団信(だんしん)」と呼んだりします。
団信ってやさしいだけの保険なの?
そもそもなぜ、こんな素敵な(!)保険があるのでしょうか?「ローンの残りを払わなくてもそのまま家に住んでいていいよ!」なんて、ちょっと都合良すぎませんか?
一例をあげると、一般的な生命保険では、名義が上の写真のような構成になっています。ご主人さま(保険契約者)が保険料を毎月(または年払い)で支払います。
団体信用生命保険の場合は、名義人が、下の写真の図の右側のようになります。
この場合、保険契約者である銀行が保険料を支払います。銀行としても万が一に備える必要がありますので、住宅ローンを借りるには「団信の加入が必須」とされているのです。
団信の保険料はどこから来るの?
読者のみなさんの中にもパンフレット等で「団信の保険料は無料です!」「団信の保険料がセットになった金利です!」と書いてあるのを目にされたことのある方がいらっしゃるかもしれません。
事実、保険会社に保険料を払っているのは「銀行」です。
しかしその銀行が払っている保険料の「原資」がどこから来るかと言うと、みなさまが毎月住宅ローンの返済として支払っている中の利息(銀行の利益)部分です。
住宅ローンの返済においては、「利息、もったいないなぁ」と感じる方も多いと思いますが、その利息の中には団信の保険料も含まれているのです。
団信の保険料を推測してみる
参考までに、住宅ローンの「フラット35」という商品においては、団信加入を任意で選択することができます。そして「フラット35」において団信に加入しない場合は、加入した場合に比べて金利が約0.2%下がります。
つまり、住宅ローンの約0.2%の部分が団信の保険料とも考えることができそうです。
実際の内訳はそれぞれの銀行によっても違っていると思いますが、例えば、2020年8月現在、変動金利の優遇後の実効金利が0.5~0.6%くらいです。そう考えると、金利全体に占める団信の保険料の大きさを感じてもらえるのではないでしょうか。
弊社でお世話になっている銀行の担当者さんも、「住宅ローンは赤字商品なんです」なんておっしゃっています(笑)し、実際に銀行にとっては薄利というのも頷けます。
団信に加入するのに、条件はある?入れないことってある?
上記で触れた通り、民間の都市銀行では住宅ローン借り入れの要件として「団信」の加入を義務付けています。それでは加入に際して、条件はあるのでしょうか?
ほとんどの銀行は団信加入の要件を住宅ローン契約者による「健康状態の告知」で確認します。その内容は大まかに次の3点です。
・過去3ヶ月以内に医師の治療や投薬を受けたか?
・過去3年間に大きな病気で手術や2週間以上の治療を受けたか?
・手足の欠損やその他機能の障がい等はないか?
こんな場合は??
上記の条件をご覧になって、心配にになった方もいらっしゃるかもしれません。例えば・・・
・先日、風邪引いて病院でお薬をもらいました
・花粉症で病院に行っています
・妊婦健診で定期的に通院しています
・偏頭痛持ちでかかりつけの病院があり、定期的にお薬をもらっています
上記のような状況でしたら、基本的には団信加入できます。また、
・半年前に◯◯の手術をして、完治はしています
・1年前に◯◯という病気は完治しましたが、現在経過観察のために定期的に通院しています
このようなケースでは、場合によっては完治証明などの書類の提出をお願いすることもありますが、団信に加入できるケースが多いです。
心配なときは
ここまで、団信に加入可能なケースを並べましたが、最終的には保険会社が判断することになります。もし何か気になることがありましたら、不動産仲介会社の担当者にまずは相談してみてください。その担当者が、色々調べてくれるはずです。
次回の記事では、団信に加入するのが難しい場合でも、住宅ローンを組むことができますので、そのあたりのお話をしていきたいと思います。
動画
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