
三鷹市が登場する漫画・小説作品9選
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ご自分の住む地域が、アニメ、小説の舞台として描かれていると、親近感を持ち作品に愛着を持つ方もいるのではないでしょうか。
今回は三鷹市をテーマにしたアニメ・漫画・小説作品をご紹介します。
三鷹市で取り上げられている作品を何作品ご存知でしょうか。ぜひ本記事を通して確認してください。
三鷹市の特徴
三鷹市は元々江戸時代の後期に開拓が始まった比較的歴史の浅いエリアで、関東大震災をきっかけに、三鷹市に多くの住民が集まってきたようです。
関東大震災の前までは農地であった場所に、震災で家を失った多くの人たちが移住をし、暮らすようになりました。
さらに、第二次世界大戦後には団地の集合住宅の建設が相次ぎ、人口が急増し都市基盤が整っていきました。
過去には、太宰治や、山本有三、三木露風など、さまざまな文学人が移り住み、愛した街でもあります。
この記事では、三鷹市が登場する、まんが・アニメ・小説・エッセイなどを紹介します。みなさんがご存知の作品はいくつありますか?
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
テレビドラマが原作のアニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横からみるか?」は、1993年に放送された岩井俊二監督のテレビドラマ作品です。ドラマは、主に千葉県で撮影されました。
このドラマで重要なシーンとなるのが、プールでの典道と祐介による勝負で、その結果がストーリーに大きく影響を与えます。
アニメ版でこの作品を見た時に、このシーンで登場する「アーチ状の屋根が特徴のプール」が印象に残る人も多いと思います。
アニメ版のこのプール、実は、三鷹市立第五中学校の可動式の屋根のあるプールがモデルになっているそうです。アニメ版作品の制作会社は、第五中学校意外にも、三鷹市のプールをいくつか調査して、作品に反映したということです。
三鷹市で生まれた方が慣れ親しんだ風景が、アニメの作品の要素として取り入れられると、毎日の通学が楽しくなりますよね。
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』監督/新房昭之(TOHOサイト内紹介ページ)
はい、こちら国立天文台―星空の相談室
三鷹市の方なら誰もが知っている「国立天文台 三鷹キャンパス」。
この国立天文台を舞台にした作品が、「はい、こちら国立天文台―星空の相談室」です。
著者の長沢工さんは、実際に国立天文台広報普及室に勤務されていた方です。
その時に経験したことをベースにして、広報マンの奮闘を描いた作品になっています。
作中では、「金星と木星どちらが明るいのでしょうか」「月が見えなくて困っている」など、子どもの宿題の相談から、ワケアリな相談まで、見えない相手の質問を通して、さまざまな人間ドラマが見えてきます。
国立天文台へのお問い合わせは年間1万件もあるそうです。国立天文台で働く職員のみなさんのご苦労はもちろんのこと、天文学に関する豆知識も知ることが出来る一冊です。
『はい、こちら国立天文台―星空の相談室』長沢 工/著(国立天文台図書室蔵書検索ページ)
東京百景
東京百景は、お笑い芸人又吉直樹さんが上京してからのことを綴った、100篇のエッセイをまとめた作品で、芥川賞受賞作の『火花』や、映画の原作小説『劇場』の元となるエピソードも含まれています。
作中には、上京して最初に住んだ三鷹市下連雀二丁目のアパートのことを書いている一節もあります。なんと、そのアパートは太宰治の住居跡に建っていたそうで、当時の又吉さんは、それを知らずに太宰治が作品を書いた場所で、太宰治の作品を読んでいた・・・ということです。
また、別の章では、そのアパートに引っ越した当時のことも書かれています。何気なく歩いていたら、太宰治のお墓がある三鷹禅林寺にぶつかったそうで、又吉さんと太宰治との縁を感じるエピソードになっています。
また、タイトルの「東京百景」は、太宰治の「東京八景(苦難の或る人に贈る)」という短編小説のタイトルに由来するそうです。
東京のいろんな場所にまつわる思い出などが綴られているので、それぞれの場所を思い浮かべながら読んでみるのも良いですね。
かのこちゃんとマドレーヌ夫人
「鴨川ホルモー」でデビューをした万城目学氏が三鷹市立第一小学校を取材して執筆した作品が、「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」です。
元気な小学校1年生の女の子「かのこちゃん」と、かのこちゃんの飼い猫「マドレーヌ夫人」、その周りの人物や動物たちとの心温まる交流を描いた物語です。子どもも大人も引き込まれるファンタジー要素のあるお話で、学校の様子や猫の集会の様子などが生き生きと表現されています。
短編小説集ということもあり、手軽に読めるのも魅力です。児童書としても発行されていますので、お子さまと一緒に楽しむのも良いかもしれません。
帰去来
三鷹市に移住した文豪太宰治が執筆した「帰去来」には、さまざまな三鷹市の描写があります。
特に多いのは、太宰治が足を運んだと思われるレストランやカフェなどで色んな場面で作中に登場します。
今も落語会やお茶会で使われている三鷹市の「井心亭」は、当時の面影を残しつつ、その庭には、太宰治の家の庭にあったさるすべりが移植されています。
他にも、太宰のお気に入りスポットだったのは、三鷹電車庫の上に架かる跨線橋が有名です。太宰が友人を連れて来るほど気に入っていたというこの跨線橋ですが、建設から90年以上が経過し、耐震性に問題があること等の理由により、残念ながら、2021年夏、橋を管理するJRと三鷹市との間で、撤去する方針が決定されました。
三鷹天命反転住宅 ヘレン・ケラーのために
三鷹市のランドマーク的存在になっている建物、「三鷹天命反転住宅」。東八道路沿いにあるので、三鷹市民のみなさんは、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
三鷹天命反転住宅は、緑、赤、オレンジなどカラフルな外壁だけでなく、四角い部分や丸型の部分がくっついたような形状になっています。
この建物は、建築家荒川修作さんと、リン・ギンスさんが「死なないための住宅」として設計したものです。元々は賃貸住宅として活用されてきましたが、近年はイベントスペースとして活用されています。
そんな三鷹市の一風変わった建物についての書籍が、「三鷹天命反転住宅 ヘレン・ケラーのために」です。
書籍の中では、内装の写真はもちろんのこと、建物に込められた思い、建築時にこだわった技法など、三鷹天命反転住宅が出来るまでのお話が多数紹介されています。
さらに、著名人が実際に足を運び、体験した様子も記載されています。
三鷹天命反転住宅にご興味がある方は、ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。
『三鷹天命反転住宅 ヘレン・ケラーのために』河本英夫/著(水声社)
リトルスターレストランの作り方
広告プランナーのミヤザキとデザイナーのokayanが2004年に経営をはじめたご飯屋さん。
飲食店未経験者ながらも、おいしい料理と心のこもった温かい接客を売りに評判を集め、たった5年で有名店に成長しました。
この本では、どのようにしてリトルスターレストランが運営されていったのか、その過程を詳しく紹介しています。
お店は現在も営業していますので、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
※以前、リトルスターレストランに伺った時の記事はこちら→三鷹で「ふだん着のごちそう」はここで。アットホームな隠れ家レストラン「Little Star Restaurant」
『リトルスターレストランの作り方』リトルスターレストラン、山本高樹/著(美術出版社)
孤独なアスファルト
第9回江戸川乱歩賞受賞作の「孤独なアスファルト」。この作品は、昭和30年の東京郊外が舞台となった作品で、当時の社会背景を大きく反映している作品です。
上京した内気な東北出身の青年が容疑者として上がりますが、疑問を抱いた警官が事件の真相を追求していきます。
舞台は昭和30年の三鷹市周辺で、作中で登場する街の雰囲気に近いと言われているのが、三鷹の井口・新田エリアです。
建物の老朽化が進み、昭和30年当時に建てられた建物が減少していますが、当時の面影を感じる事ができます。
野川
高等学校の課題図書にも選ばれた「野川」。
野川は、三鷹市やその周辺にお住まいの方には馴染みのある川ですよね。
この作品は長野まゆみ氏による小説で、両親の離婚にともなって、父親と暮らすことになった中学2年制の主人公井上音和が、転校先の学校で新聞部に入部し、成長していくお話です。
舞台の中心は小金井市であるものの、武蔵野台地の説明や、国立天文台や飛行場など三鷹在住の方には身近なスポットも登場しますので、情景を思い浮かべながら読むとさらに面白く感じれそうです。
まとめ
今回は、三鷹市が舞台になったおすすめの作品を紹介しました。
三鷹市に在住の方も、そうでない方も、気になった作品はありましたでしょうか?
ぜひ、芸術の秋を満喫してみてください。