
吉祥寺「LABRAVA」で出会う!カラフルでユニークなメキシコ民芸の世界
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吉祥寺駅から徒歩5分の「LABRAVA」は、メキシコの民芸品を扱う専門店。現地で直接買い付けた個性的な作品がそろうので、メキシコ好きだけでなく少し変わったアイテムを探している人にもおすすめです。
吉祥寺駅から徒歩5分。みその通り沿いのメキシコ民芸の専門店「LABRAVA」
「LABRAVA」があるのは、吉祥寺駅の北口、または東口から歩いて約5分。五日市街道に出る手前、みその通り沿いの白い建物の1階にあります。
周囲には、花屋や雑貨店など個性豊かなお店が並び、散策するのも楽しいエリアです。
2000年のオープン以来、「LABRAVA」はメキシコ各地を旅して集めた民芸品を紹介し続けてきました。
店内には、メキシコらしいカラフルなガイコツや、ユーモラスな表情のオブジェ、織物や陶器などの手仕事の品々がずらり。
ユニークさとあたたかみのあるアイテムばかりで、眺めているだけでも心が躍ります。吉祥寺にいながらメキシコの空気をたっぷりと味わえるお店です。
偶然の出会いからメキシコに魅せられた二人が営む「LABRAVA」
「LABRAVA」を営むのは、メキシコの民芸品に魅せられた山本正宏さん・敦子さんご夫妻。
初めてのメキシコ訪問は1994年の年末。
キューバ旅行のトランジットで立ち寄ったのがきっかけでしたが、思いがけずメキシコの奥深さにひかれ、3カ月にわたりメキシコ各地を旅して、各地の民芸品や作り手の魅力に触れました。
2000年、偶然見つけた吉祥寺の物件が気に入り、お店をオープン。
山本さんご夫妻は、それまでまったく異なる仕事をしていたそうですが、開店以来、現地を訪れて直接買い付けるスタイルを貫きながら、25年にわたり店を続けてきました。
作り手を伝えることを大切にしながら、博物館の展示協力や展覧会の企画など、多方面へと活動を広げています。二人の飾らない人柄と誠実なもの選びが、お店の雰囲気からも伝わってきます。
「LABRAVA」はメキシコ各地の個性あふれる民芸が並ぶお店
「LABRAVA」で出会えるのは、メキシコ各地の職人たちが手がけたエネルギッシュでユニークな民芸たち。
どれも、その土地土地で培われた、作り手の創造力と自由な感性があふれています。「LABRAVA」では、そんなメキシコ民芸の魅力を伝えることを大切にしています。
店内には、オアハカ州でつくられたガイコツのオブジェやメキシコ民芸の中でもとくに人気のあるオアハカン・ウッド・カーヴィング、プエブラ州の陶芸、ハリスコ州のトナラー焼など、メキシコ各地の色鮮やかな置き物がずらり。
現地で作家から直接買い付けているので、気になる作品の作り手のことや背景もいろいろと聞いてみるとより楽しめるのでは。
メキシコのさまざまな地で生まれた作品たちは、民芸品でありながらも、ひとつひとつが芸術作品のような存在感。
洗練された美しさや繊細さだけではなく、ユニークで時にくすりと笑ってしまうような愛嬌があるのも、メキシコ民芸のおもしろさ。見れば見るほど愛着が湧いてきます。
オアハカン・ウッド・カーヴィング(制作地:オアハカ州アラソーラ)
オアハカン・ウッド・カーヴィングは、オアハカ州でつくられる木彫りのこと。1950年代から作り始められたメキシコを代表するフォークアートのひとつです。
写真は、オアハカン・ウッド・カーヴィングの創始者マヌエル・ヒメネスの息子イサイーアス・ヒメネスの作品。髭をはやした人面の動物は「ナワール」といい、シャーマンが動物に変身した姿を表しています。
父マヌエル、そして跡を継ぐイサイーアスの作品は日本でもファンが多く、「LABRAVA」は2025年3月にイサイーアスを日本に招いて、大阪・埼玉・栃木の3つのミュージアムでイベントを開催しました。
トナラー焼(制作地:ハリスコ州トナラー)
「トナラー焼」は、ハリスコ州トナラーという町で作られている土人形です。繊細な筆づかいで描かれた動物や植物の模様が特徴で、素朴であたたかみのある風合いが魅力。
動物や鳥をモチーフにしたものが多く、花瓶など普段使いできるアイテムも人気です。
メテペックの陶芸(制作地:メヒコ州メテペック)
メヒコ州メテペックはメキシコを代表する陶芸の町のひとつで、「生命の樹」の産地としても知られています。
昔ながらのアニリン染料を使ってカラフルに仕上げた作品は、どれもにぎやかで楽しく、見ているだけで元気をもらえます。
ガイコツ・死者の日
メキシコの「死者の日」は、亡くなった人の魂を迎えて、死者と家族が一緒に過ごす特別な日です。近ごろは日本でもずいぶん知られるようになってきました。
「死者の日」には祭壇を設え、そこにガイコツの置き物や砂糖菓子を飾ることも。「LABRAVA」にも、死者の日にちなんだもの、そうでないものも含めてさまざまなガイコツが並んでいます。
「メキシコといえばガイコツ!」なのですが、そのメキシコのガイコツに怖いイメージはありません。死を悲しみだけでなく、前向きな気持ちで捉える文化の中で、死者と楽しもうとする思いが怖くないガイコツに表れているのかもしれません。
中でも、貴婦人の格好をしたガイコツ「カトリーナ」は、メキシコでいちばん有名なガイコツ。「どれだけ財産や地位があっても、死んでしまえばみんな同じ」と、ガイコツで風刺画を描いた有名な版画家ホセー・グァダルーペ・ポサーダが生み出したものです。
生命の樹
「生命の樹」は、プエブラ州イスーカル・デ・マタモロスとアカトラン、メヒコ州メテペックなどでつくられている陶製のキャンドル・ホルダーです。
元々は、スペインの征服前から作られていたといわれるキャンドル・ホルダー。スペイン征服後にもたらされたキリスト教を織り込み、「生命の樹」と呼ばれるようにもなりました。
メテペックではアダムとイヴを加えるなどの宗教的な特徴を備えた作品もありますが、それはほんの少しだけ。花や鳥、動物などの自然を自由に表現するスタイルは昔から変わりません。
「オアハカン・ウッドカーヴィング」のとの関わりの成果がギュッとつまった一冊
山本さんご夫妻が手がけた冊子『夢はマヌエル ヒメネスの夢をみる オアハカン ウッド カーヴィング抄記』は、ぜひ手に取ってほしい一冊。
マヌエル・ヒメネスのヴィンテージ作品を中心に、オアハカン・ウッド・カーヴィングの歴史、作家たちのエピソードなどが丁寧にまとめられていて、「オアハカン・ウッド・カーヴィングを知るならこれ!」というような内容になっています。
文章を担当したのは敦子さん、写真は正宏さんが撮影。B4サイズの大きな紙面で構成されていて、作品の細部や迫力がしっかり伝わってきます。ポスターとして飾って楽しむのもおすすめです。
なお、2005年に亡くなったマヌエル・ヒメネスと、山本さんご夫妻が生前最後に会った2004年の記録写真も掲載されています。
「LABRAVA」でメキシコをディープに知ろう
「LABRAVA」に並ぶカラフルな陶器やユニークな木彫り、ガイコツのモチーフなどは、どれも作り手の個性が光る一点もの。見ているだけでも楽しく、なかなか他では出会えないアイテムばかりです。
「LABRAVA」は、ただものを売るお店ではなく、メキシコの暮らしや文化、手仕事のぬくもりを感じられる場所。
吉祥寺の小さな一角で、作り手や背景に思いをめぐらせながら、メキシコ民芸を楽しんでみてはいかがでしょうか。

LABRAVA
- 営業時間
- 12:00〜19:00
- 定休日
- なし
- HPなど
- https://www.labrava.jp/
- 電話
- 0422-20-6956
- 住所
- 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-28-3
ジャルダン吉祥寺104 Google Mapで見る
※お店の様子、メニューや価格などは取材当時のものです。最新情報はホームページやSNSでご確認ください。